国立大学法人 三重大学 様
「大学院の学生が中心となり、
木材を活かした内装の研究でCOOHOMを活用しています」
国立大学法人 三重大学
昭和24年建学の国立大学法人。地域に根ざし、世界に誇れる教育・研究に取り組み、人と自然の調和・共生の中で、社会との共創に向けて切磋琢磨することを基本理念とされています。日本の総合大学初のユネスコスクール登録やスマートキャンパス事業など、環境教育にも力を注いでおられます。
ホームページ: https://www.mie-u.ac.jp/
所在地:三重県津市栗真町屋町1577
事業内容:教育・研究
ご利用サービス:ルームプランニング
ご利用歴:2年
三重大学生物資源学部・生物資源学研究科の中井毅尚教授、大学院生の齊藤勇人さんにお話を伺いました。
研究におけるシミュレーションツールとして、COOHOMを採用
― 中井先生の研究室では、主にどのようなテーマを扱っておられますか。
中井教授:住宅分野を中心として、木材を利用した空間の快適性や公益性を示すことで、木材利用に基づく社会づくりを目指して研究を行っています。
昨年度までの4年間は林野庁の補助事業に参加し、木材を使った公共施設のリニューアルを行いました。施設の内外装の木材使用率を上げることによって、来訪者の数の増加や滞在時間を延ばす効果が得られるか、といった検証を目的として、2023年度は桑名市民会館で実証事業を実施しました。
― 具体的にどのような調査をされたのでしょうか。
一つ目の実験として、エントランスホールを木材率0%から2%に改修し、AIカメラシステムを用いた滞在時間の調査や、視線カメラを使った視線解析を行いました。その後のアンケートの結果、木材の使用によって明るさや温かさ、内装のおしゃれ感がアップしたと感じるなど、心理面に良い影響があることがわかりました。
この結果を踏まえ、より多くの比率でシミュレーションすることはできないかと考えていた時にCOOHOMをご紹介いただき、導入を決めました。
リアルなVR体験によって、効率的に被験者数を増やすことができる
― どのような効果を期待して、COOHOMを採用いただいたのでしょうか。
これまでの研究では、木材率40~50%が最も人の目に優しいと言われています。しかしそれを検証するために実際の建物を何度も改修することは不可能ですし、アンケート調査を実施する場合でも、現地での調査に参加できる人数には限りがあります。
そこでCOOHOMを活用して現実と齟齬のないシミュレーションができれば、アンケートの被験者数を効率的に増やすことができると考えました。
― COOHOMでどのような空間を作成されたのでしょうか。
先ほどご紹介した市民会館のエントランスホールを元に、木材率の異なる3D空間を5パターン作成しました。
視線眼鏡を着用し、PC上の3D空間を歩いてもらったり、木材の使用比率を変えることによってどう感じるか、といった主観評価などを行いました。
アンケ―トの結果、多くの人が木材率25%~49%の空間が一番心地良いと感じる傾向が見られ、その理由として「木材特有の温かみを感じる」といった回答が多く得られました。バーチャル空間であっても、温かみと明るさが嗜好に大きく影響しているということがわかったのです。
遠隔地の研究でも、PCの中でシミュレーションが可能に
― COOHOMを導入されて、研究の場で変化はありましたか?
中井教授:研究対象となる建物は大学から距離がある場所にあることも多いため、学生達にとっても現地に赴くのは負担が大きく、回数も限られている状況でした。
COOHOM導入後は、現地に行かなくてもPCの中でシミュレーションできるケースが増え、作業効率アップにつながっています。
― 昨年度の研究事業でも、COOHOMをご活用いただいたそうですね。
前年度の使い勝手が非常によかったので、2024年度もCOOHOMを使いました。三重県林業研究所の「みえ森林・林業アカデミー」と本学の「地域共生プラザ」という二つの対象施設について調査を行い、バーチャル空間を利用したアンケート調査においてCOOHOMを使用しました。
図面を元に現地と同じ空間を3Dで作成し、木材使用率の異なる10パターンのシミュレーションを行うことができました。
VRを活用したリアルなシミュレーションと作業の効率化という、COOHOMの導入当初に期待していた効果は十分に果たしてくれていると感じています。
直感的な操作で、建築系の学部などでも活用できるのでは
― 学生の皆さんにとって、COOHOMの使い勝手はいかがでしょうか?
齊藤さん:実際の建物にできるだけ近い画像の作成を目指して取り組んできましたが、直感的に操作でき、特に操作が難しいと感じることはありませんでした。
中井教授:齊藤君をはじめ複数の学生がCOOHOMを利用していますが、習得がとても速いです。マニュアルを読み込むよりも、直感的に操作をしているうちにあっという間に使いこなしてしまいます。
―今後、COOHOMに期待されることはありますか。
齊藤さん:より現実に近づけたいという思いがありますので、配置できる家具や小物などが今後も増えていくと良いなと思います。
中井教授:実験のシミュレーションに限らず、建築系の学部など様々な分野で活用できるのではないでしょうか。学生向けのサービスの充実にも期待したいですね。
今回は初の教育・研究の場でのご活用事例として、興味深くお話を伺いました。学生の皆様にご活用いただけているとのこと、大変嬉しく思います。弊社といたしましても、教育の現場でより気軽に使っていただけるサービスをご提供できるよう、努力して参ります。
(参考資料)
1.3D Tour Viewにおける大空間エントランスにおける内外装木質化の効果実証
2.内外装木質化の効果に及ぼすブランニューフィルターの影響度の検証
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